会社にあっせん開始通知書が来たら
会社の従業員とのトラブルの末、もしくはまったく知らないうちに職場トラブルになっていたため、紛争調整委員会の「あっせん開始通知書」が会社に届いた場合にはどうしたらよいでしょうか。
あっせん開始通知書をよくみるとこう書いてあります。
あっせん手続は、参加が強制されるものではなく、また、不参加の意思が表明された場合にも、不利益な取り扱いがなされるものではありません。 |
これを見たほとんどの事業主の方が「強制じゃないから参加しないくてもいい」と思われるのです。しかし、実はこれが大きな間違いなのです。
従業員の方があっせん申請をしたということは、どういう意味合いで行ったと思われるでしょうか。
あっせん申請を行った従業員は通常、「何とか円満に解決したい!」、「困ってはいるが会社と裁判までして争いたくない」、「今回のことが改善されればこのまま職場で働きたい」という考えをもとに何とか会社と対決せずに問題を解決したいと思ってあっせん申請を行っている場合がほとんどです。
ですから、会社側であっせんに参加することを拒むということは、従業員がせっかく公的機関で話し合いを行い、そして、円満に職場トラブルを解決したいと願っている機会を会社側が奪ってしまうことになるのです。
そして、紛争調整委員会のあっせんを拒まれた従業員は次はどうするでしょうか。
従業員はやむを得ず裁判を起こすこととなり、そして、訴訟の場で対決して白黒をつけて自分の利益や生活を守ることをしなければならなくなるのです。
そして、裁判の場においては、「労働者があっせんにより話し合いをし、円満解決を行おうとしたにもかかわらず、会社側でその道を閉ざしたため、やむを得ず訴訟を起こすことになった」という印象になり、裁判官の会社に対する心証は良いものとはいえません。
ですから、会社にあっせん開始通知書が来た場合には、何はともあれまずは参加する旨を紛争調整委員会へ伝えることが重要です。そして、あっせんには労働基準法や労働社会保険諸法令などの専門知識やまた、訴訟とは違う性格を持ちますので、当所のようにあっせんの制度や趣旨をきちんと理解している専門家に依頼することが大切です。
あっせんの制度や趣旨を理解していないと、せっかくあっせんが開始されたとしても、解決に至らなかったり、打ち切りとなってしまったりする可能性があるといえます。
また、会社側としてもあっせんで職場トラブルを解決するメリットがたくさんあります。
あっせんは非公開のためあっせんで解決できれば当事者である従業員と会社以外には、事件の内容が知られることはありません。つまり、会社に傷がつかないのです。事案によっては社内の従業員にも知られずに解決することが可能です。
また、解決まで要する期間が非常に短く、原則として約1ヶ月で解決まで至ります。そして、あっせんは、原則として1回のみ行われるものですので、行政に何回も足を運ぶようなこともありません。
そして、コスト面についても、専門家に依頼する費用以外は原則としてかかりません。
これらのことからあっせんで解決するメリットがおわかりいただけたと思います。そして、もし「あっせん開始通知書」が会社に来た場合には、早急にご連絡ください。
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