解雇をするにはそれなりのルールにのっとって解雇しなければなりません。残念ながらその場の感情や独自の価値観でだけでは解雇はできません。また、解雇予告手当てさえ支払えば解雇できるということも間違いです。
労働契約法第16条では…
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」となっています。
現実的にはこれは、解雇が濫用になるのが原則で、一部の例外的なものに限り解雇が有効となるということです。そして、この条文の示すように客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない解雇はすべて無効ということになります。
そこで、客観的に合理的な理由となるためには、解雇事由を就業規則に具体的に定めておく必要があります。
平成16年1月から労働基準法の改正により就業規則に解雇の事由の記載が義務化されました(第89条)ので、解雇の事由の規定にない解雇はそもそも根拠がないとされ無効となるといえます。
そして、この客観的に合理的な理由となる解雇がさらに社会通念上相当であってはじめて解雇が成立することになります。
これらの問題をクリアーして解雇の予告とか解雇予告手当てという段階に進んでいきます。
労働基準法第20条(抜粋)
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日以上前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」
また、解雇を通知された労働者は、その解雇の理由を使用者に請求することができます。もし、ここで具体的に理由をきちんと示すことができない場合には、その解雇は合理的な理由がないとして無効の有力な要素となるでしょう。(請求に応じないだけでも30万円以下の罰金となります)
解雇を行うにはそれなりに段階を踏む必要があることはお分かりいただけたでしょうか。
その解雇はこれらの問題をクリアーしていますか。
もし、これらの問題に不備がある場合には解雇自体が無効になる可能性が非常にあるといえます。
当事務所では、事業主の立場で解雇を行う場合にこれらの段階を踏んでいくためのご指導をいたします。
その解雇が正当となるかどうか労働基準法上からの点検、就業規則上からの点検、解雇予告通知等の作成指導、離職票発行のための指導などあらゆる観点からご指導いたします。
その後、やむを得ず労働者と個別の労使紛争になってしまった場合には、公的機関である紛争調整委員会のあっせん申請を行うなど様々方策を講じて円満解決を目指します。
解雇を行う場合には、迅速に手続きを進めていく必要があります。
解雇の問題ででお困りの場合には、ぜひご相談ください。